恒等式
【恒等式】
文字にどのような値を代入しても常に成り立つ等式を恒等式という。
\(A,B\)が\(x\)についての整式であるとき、
(1)\(A=0\)が恒等式ならば、\(A\)の各項の係数は全て\(0\)。
(2)\(A=B\)が恒等式ならば、\(A\)と\(B\)の各項の係数は全て等しい。
【例題】次の等式が\(x\)についての恒等式となるように、\(a,b,c\)の値を求めなさい。
(1)\(x^2+ax-5=(x-1)(x+b)\)
(左辺)\(=x^2+ax-5\)
(右辺)\(=(x-1)(x+b)\)
\(\ \ \ \ \ \ \ \ =x^2+(b-1)x-b\)
両辺の係数を比較すると、
\(\left\{\begin{array}{l}a=b-1 \\ -5=-b\end{array}\right.\)
これを解くと、
\(a=4,b=5\)
(2)\(x^3=(x-1)^3+a(x+1)^2+bx+c\)
(右辺)\(=(x-1)^3+a(x+1)^2+bx+c\)
\(\ \ \ \ \ \ \ \ =x^3-3x^2+3x-1+ax^2+2ax+a+bx+c)\)
\(\ \ \ \ \ \ \ \ =x^3+(a-3)x^2+(2a+b+3)x+(a+c-1)\)
両辺の係数を比較すると、
\(\left\{\begin{array}{l}a-3=0 \\ 2a+b+3=0 \\ a+c-1=0\end{array}\right.\)
これを解くと、
\(a=3,b=-9,c=-2\)
(3)\(\displaystyle \frac{a}{x^2-1}=\frac{b}{x+1}-\frac{3}{x-1}\)
(左辺)\(\displaystyle =\frac{a}{x^2-1}\)
(右辺)\(\displaystyle =\frac{b}{x+1}-\frac{3}{x-1}\)
\(\displaystyle \ \ \ \ \ \ \ \ =\frac{b(x-1)-3(x+1)}{(x+1)(x-1)}\)
\(\displaystyle \ \ \ \ \ \ \ \ =\frac{(b-3)x-b-3}{x^2-1}\)
両辺の係数を比較すると、
\(\left\{\begin{array}{l}b-3=0 \\ -b-3=a\end{array}\right.\)
これを解くと、
\(a=-6,b=3\)