【線形代数】3-1-1 基本行列と行列の基本変形|要点まとめ
このページでは、大学数学の線形代数における「基本行列」の定義と具体的な行列の形、および「行基本変形・列基本変形」の性質や共通のルールについて分かりやすく解説します。
基本行列
【基本行列】
\(E_n\)を\(n\)次単位行列とする。
(1)\(E_n\)の第\(i\)行に第\(j\)行を\(c\)倍したものを加えて得られる行列を\(P_n(i,j;c)\)とする。
(2)\(E_n\)の第\(i\)行を\(c(\neq0)\)倍した行列を\(Q_n(i;c)\)とする。
(3)\(E_n\)の第\(i\)行と第\(j\)行を入れ替えた行列を\(R_n(i,j)\)とする。
これらの行列をn次基本行列という。
【例題】次の行列を答えなさい。
行列の基本変形
【基本行列との積】
\(A\)を\(m\times n\)行列とする。このとき、次が成り立つ。
(1)\(P_m(i,j;c)A\)は\(A\)の第\(j\)行を\(c\)倍したものを第\(i\)行に加えて得られる行列
(2)\(Q_m(i;c)A\)は\(A\)の第\(i\)行を\(c\)倍して得られる行列
(3)\(R_m(i,j)A\)は\(A\)の第\(i\)行と第\(j\)行を入れ替えて得られる行列
(4)\(AP_n(i,j;c)\)は\(A\)の第\(i\)列を\(c\)倍したものを第\(j\)列に加えて得られる行列
(5)\(AQ_n(i;c)\)は\(A\)の第\(i\)列を\(c\)倍して得られる行列
(6)\(AR_n(i,j)\)は\(A\)の第\(i\)列と第\(j\)列を入れ替えて得られる行列
【行基本変形】
行列に対して、基本行列を左からかけることに対応する次の3つの変形を行基本変形という。
(1)ある行をスカラー倍したものを他の行に加える。
(2)ある行に0ではないスカラーをかける。
(3)2つの行を入れ替える。
【列基本変形】
行列に対して、基本行列を右からかけることに対応する次の3つの変形を列基本変形という。
(1)ある列をスカラー倍したものを他の列に加える。
(2)ある列に0ではないスカラーをかける。
(3)2つの列を入れ替える。
基本行列の性質
【基本行列の性質】
基本行列の積と転置について、以下が成り立つ。
(1)\(P_n(i,j;c)P_n(i,j;d)=P_n(i,j;c+d)\)
(2)\(Q_n(i;c)Q_n(i;d)=Q_n(i;cd)\)
(3)\(R_n(i,j)^2=E_n\)
(4)\(P_n^{\mathrm{T}}(i,j;c)=P_n(j,i;c)\)
(5)\(Q_n^{\mathrm{T}}(i;c)=Q_n(i;c)\)
(6)\(R_n^{\mathrm{T}}(i,j)=R_n(i,j)\)
(7)基本行列は正則であり、基本行列の逆行列も基本行列である。