【仮説検定】
得られたデータを元に仮説を立て、成り立っているか判断することを
仮説検定という。
仮説検定であらかじめ定めておく、めったに起こらないと判断する確率を
有意水準といい、\(5\%\)または\(1\%\)とすることが多い。
仮説で棄却される範囲を
棄却域という。
【両側検定と片側検定】
棄却域(グレー部分)を分布の両側に設定する検定を
両側検定という。
有意水準\(5\%\)の両側検定
有意水準\(1\%\)の両側検定
棄却域(グレー部分)を分布の片側に設定する検定を
片側検定という。
有意水準\(5\%\)の片側検定
有意水準\(1\%\)の片側検定
【仮説検定の手順】
(1)めったに起こらない事象\(A\)が起こった場合、
対立仮説\(H_1\)を立てる。
(2)\(H_1\)を否定する
帰無仮説\(H_0\)を立てる。
(3)有意水準\(p_0\)をあらかじめ定め、仮説\(H_0\)から棄却域を求める。
(4)標本から得られた確率変数が棄却域に入るか調べて、仮説\(H_0\)が棄却できるかどうか判断する。
【例題】ある工場で作られているバターの内容量は、平均\(300g\)、標準偏差\(5.5g\)の正規分布に従っている。\(100\)個のバターを無作為に選ぶと、内容量の平均が\(298.7g\)だった。
(1)バターは正常に作られていると判断してよいか。有意水準\(5\%\)で検定しなさい。
仮説を「バターは正常に作られている。」とする。
バターの内容量を\(Xg\)とおくと、\(X\)は正規分布\(N(300,5.5^2)\)に従う。
標本平均\(\bar{X}\)は\(\displaystyle N\left(300,\frac{5.5^2}{100}\right)\)に従う。
有意水準\(5\%\)の棄却域は\(Z\leqq -1.96, 1.96\leqq Z\)より、
\(\displaystyle \bar{X}\leqq 300-1.96\times\frac{5.5}{\sqrt{100}}, 300+1.96\times\frac{5.5}{\sqrt{100}}\leqq \bar{X}\)
\(\bar{X}\leqq 298.922, 301.078\leqq \bar{X}\)
標本平均\(\bar{x}=298.7\)は棄却域に入るので、正常に作られていないと判断できる。
(2)バターは正常に作られていると判断してよいか。有意水準\(1\%\)で検定しなさい。
仮説を「バターは正常に作られている。」とする。
バターの内容量を\(Xg\)とおくと、\(X\)は正規分布\(N(300,5.5^2)\)に従う。
標本平均\(\bar{X}\)は\(\displaystyle N\left(300,\frac{5.5^2}{100}\right)\)に従う。
有意水準\(1\%\)の棄却域は\(Z\leqq -2.58, 2.58\leqq Z\)より、
\(\displaystyle \bar{X}\leqq 300-2.58\times\frac{5.5}{\sqrt{100}}, 300+2.58\times\frac{5.5}{\sqrt{100}}\leqq \bar{X}\)
\(\bar{X}\leqq 298.581, 301.419\leqq \bar{X}\)
標本平均\(\bar{x}=298.7\)は棄却域に入らないので、正常に作られていないとはいえない。
(3)バターの内容量は\(300g\)より少ないと判断してよいか。有意水準\(1\%\)で検定しなさい。
仮説を「バターは\(300g\)以上である。」とする。
バターの内容量を\(Xg\)とおくと、\(X\)は正規分布\(N(300,5.5^2)\)に従う。
標本平均\(\bar{X}\)は\(\displaystyle N\left(300,\frac{5.5^2}{100}\right)\)に従う。
有意水準\(1\%\)の棄却域は\(Z\leqq -2.33\)より、
\(\displaystyle \bar{X}\leqq 300-2.33\times\frac{5.5}{\sqrt{100}}\)
\(\bar{X}\leqq 298.7185\)
標本平均\(\bar{x}=298.7\)は棄却域に入るので、バターは\(300g\)より少ないと判断できる。