【線形代数】5-4-1 基底の定義と性質|要点まとめ
大学数学の線形代数における「基底」の定義と「次元」の概念について分かりやすく解説します。基底の条件(一次独立と生成)、基底による表示の一意性などの重要ポイントを、具体的な例題と解答付きで効率よく確認できます。
基底の定義
【ベクトル空間を生成するベクトル】
\(v_1,v_2,\cdots,v_k\)を\(V\)のベクトルとする。\(V\)の任意のベクトル\(v\)が
\(v=c_1v_1+c_2v_2+\cdots+c_nv_k\ \ \ (c_j\in\mathbb{K})\)
と\(v_1,v_2,\cdots,v_k\)の一次結合で表されるとき、\(v_1,v_2,\cdots,v_k\)は\(V\)を生成するという。
【ベクトル空間の基底と次元】
(1)\(V\)の有限個のベクトル\(v_1,v_2,\cdots,v_n\)が
・\(v_1,v_2,\cdots,v_n\)は一次独立
・\(v_1,v_2,\cdots,v_n\)は\(V\)を生成
を共に満たすとき、\(v_1,v_2,\cdots,v_n\)は\(V\)の基底であるという。
(2)\(v_1,v_2,\cdots,v_n\)が\(V\)の基底であるとき、基底を構成するベクトルの個数\(n\)を\(V\)の次元といい、\(\dim V\)で表す。このとき、\(V\)は有限次元であるという。
(3)\(V=\{\mathbf{0}\}\)のとき、\(V\)は有限次元ベクトル空間で\(\dim V=0\)と約束する。
(4)\(V\)が有限次元でない場合、無限次元であるという。
【基底による表示の一意性】
\(V\)の任意のベクトルに対して、基底の一次結合による表示は一意的である。つまり、\(v_1,v_2,\cdots,v_n\)が\(V\)の基底であるとき、任意のベクトル\(v\in V\)に対して
\(v=x_1v_1+x_2v_2+\cdots+x_nv_n\)
となる\(x_j\in\mathbb{K}(j=1,2,\cdots,n)\)がただ1つ定まる。
【一次結合に関する基本定理】
\(V\)の\(n\)個のベクトル\(v_1,v_2,\cdots,v_n\)が、\(m\)個のベクトル\(w_1,w_2,\cdots,w_m\)の一次結合で表されるとする。もし、\(m< n\)のとき、\(v_1,v_2,\cdots,v_n\)は一次従属である。
【次元の定義の妥当性】
\(v_1,v_2,\cdots,v_n\)と\(w_1,w_2,\cdots,w_m\)が共に\(V\)の基底のとき、\(n=m\)である。
【例題】実ベクトル空間\(\mathbb{R}^3\)の部分集合\(W\)を次に定める。
\(\displaystyle W=\left\{\left. \begin{pmatrix}x \\ y \\ z\end{pmatrix}\right|2x+3y-z=0\right\}\)
また、\(\mathbf{a}_1=\begin{pmatrix}x_1 \\ y_1 \\ z_1\end{pmatrix},\mathbf{a}_2=\begin{pmatrix}x_2 \\ y_2 \\ z_2\end{pmatrix}\in W\)、\(\alpha,\beta\in\mathbb{R}\)とおくと、
\(2x_1+3y_1-z_1=0,\ \ 2x_2+3y_2-z_2=0\)
すなわち\(\alpha\mathbf{a}_1+\beta\mathbf{a}_2=\begin{pmatrix}\alpha x_1+\beta x_2 \\ \alpha y_1+\beta y_2 \\ \alpha z_1+\beta z_2\end{pmatrix}\)について
\(2(\alpha x_1+\beta x_2)+3(\alpha y_1+\beta y_2)-(\alpha z_1+\beta z_2)\)
\(=\alpha(2x_1+3y_1-z_1)+\beta(2x_2+3y_2-z_2)\)
\(=\alpha\cdot0+\beta\cdot0\)
\(=0\)
ゆえに\(\alpha\mathbf{a}_1+\beta\mathbf{a}_2\in W\)が成り立つ。
よって、
\(W\)は\(\mathbb{R}^3\)の部分空間である。
\(\begin{pmatrix}x \\ y \\ z\end{pmatrix}=s\begin{pmatrix}1 \\ 0 \\ 2\end{pmatrix}+t\begin{pmatrix}0 \\ 1 \\ 3\end{pmatrix}\)
\(W\)の任意のベクトルは\(\begin{pmatrix}1 \\ 0 \\ 2\end{pmatrix},\begin{pmatrix}0 \\ 1 \\ 3\end{pmatrix}\)の一次結合で表せる。また、
\(s\begin{pmatrix}1 \\ 0 \\ 2\end{pmatrix}+t\begin{pmatrix}0 \\ 1 \\ 3\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}s \\ t \\ 2s+3t\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}0 \\ 0 \\ 0\end{pmatrix}\)
とおくと、\(s=t=0\)のみを解にもつので、\(\begin{pmatrix}1 \\ 0 \\ 2\end{pmatrix},\begin{pmatrix}0 \\ 1 \\ 3\end{pmatrix}\)は一次独立である。
よって、
\(\begin{pmatrix}1 \\ 0 \\ 2\end{pmatrix},\begin{pmatrix}0 \\ 1 \\ 3\end{pmatrix}\)は\(W\)の基底であり、\(\dim W=2\)