事象の確率
試行の結果起こる事柄を事象といい、\(A,B\)などの文字で表す。また、起こり得る事柄全体を全事象といい、\(U\)で表す。事象は集合で表すことができる。
全事象\(U\)の一つの要素からなる事象を根元事象といい、根元事象を一つも含まない事象を空事象といい、\(ϕ\)で表す。
ある試行において、どの根元事象が起こることも同じ程度に期待できるとき、これらの根元事象は同様に確からしいという。
【確率の定義】
全事象\(U\)の要素の個数を\(n(U)\)とし、事象\(A\)の要素の個数を\(n(A)\)とする。
\(\displaystyle \frac{n(A)}{n(U)}\)を事象\(A\)が起こる確率といい、\(P(A)\)で表す。
\(\displaystyle P(A)=\frac{n(A)}{n(U)}\)
【例題】コインを\(3\)枚投げるとき、次の確率を求めなさい。
(1)\(2\)枚だけ表である確率
硬貨\(1\) | ○ | ○ | ○ | ○ | ✕ | ✕ | ✕ | ✕ |
硬貨\(2\) | ○ | ○ | ✕ | ✕ | ○ | ○ | ✕ | ✕ |
硬貨\(3\) | ○ | ✕ | ○ | ✕ | ○ | ✕ | ○ | ✕ |
表を○、裏を✕とすると、求める確率\(p\)は
\(\displaystyle p=\frac{3}{8}\)
(2)表が\(2\)枚以上である確率
硬貨\(1\) | ○ | ○ | ○ | ○ | ✕ | ✕ | ✕ | ✕ |
硬貨\(2\) | ○ | ○ | ✕ | ✕ | ○ | ○ | ✕ | ✕ |
硬貨\(3\) | ○ | ✕ | ○ | ✕ | ○ | ✕ | ○ | ✕ |
表を○、裏を✕とすると、求める確率\(p\)は
\(\displaystyle p=\frac{4}{8}=\frac{1}{2}\)
【例題】さいころを\(2\)個投げるとき、次の確率を求めなさい。
(1)目の和が\(8\)となる確率
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 |
6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
求める確率\(p\)は
\(\displaystyle p=\frac{5}{36}\)
(2)目の和が\(10\)以下となる確率
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 |
6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
求める確率\(p\)は
\(\displaystyle p=\frac{33}{36}=\frac{11}{12}\)
順列を利用した確率
【例題】男子\(5\)人、女子\(4\)人が一列に並ぶとき、次の確率を求めなさい。
(1)特定の男女が隣り合う確率。
全ての並び方は\(9!\)(通り)
特定の男女が隣り合う並び方は\(8!\times2!\)(通り)
求める確率\(p\)は
\(\displaystyle p=\frac{8!\times2!}{9!}\)
\(\displaystyle \ \ =\frac{2}{9}\)
(2)女子が両端にいる確率。
全ての並び方は\(9!\)(通り)
女子が両端にいる並び方は\({}_4\mathrm{P}_2\times7!\)(通り)
求める確率\(p\)は
\(\displaystyle p=\frac{{}_4\mathrm{P}_2\times7!}{9!}\)
\(\displaystyle \ \ =\frac{4・3}{9・8}\)
\(\displaystyle \ \ =\frac{1}{6}\)
(3)男女が交互に並ぶ確率。
全ての並び方は\(9!\)(通り)
男女が交互に並ぶ並び方は\(5!\times4!\)(通り)
求める確率\(p\)は
\(\displaystyle p=\frac{5!\times4!}{9!}\)
\(\displaystyle \ \ =\frac{4・3・2・1}{9・8・7・6}\)
\(\displaystyle \ \ =\frac{1}{126}\)
【例題】男子\(3\)人と女子\(3\)人が円形に並ぶとき、次の確率を求めなさい。
(1)特定の\(2\)人が隣り合う確率。
全ての並び方は\(6-1!\)(通り)
特定の\(2\)人が隣り合う並び方は\((5-1)!\times2!\)(通り)
求める確率\(p\)は
\(\displaystyle p=\frac{4!\times2!}{5!}\)
\(\displaystyle \ \ =\frac{2}{5}\)
(2)特定の\(2\)人が向かい合う確率。
全ての並び方は\(6-1!\)(通り)
特定の\(2\)人が向かい合う並び方は\(4!\)(通り)
求める確率\(p\)は
\(\displaystyle p=\frac{4!}{5!}\)
\(\displaystyle \ \ =\frac{1}{5}\)
(3)男女が交互に並ぶ確率。
全ての並び方は\(6-1!\)(通り)
男女が交互に並ぶ並び方は\((3-1)!\times3!\)(通り)
求める確率\(p\)は
\(\displaystyle p=\frac{2!\times3!}{5!}\)
\(\displaystyle \ \ =\frac{1}{10}\)
組合せを利用した確率
【例題】赤玉\(5\)個と白玉\(7\)個が入った袋から同時に\(3\)個取り出すとき、次の確率を求めなさい。
(1)白玉\(3\)個になる確率。
全ての組合せは\({}_{12}\mathrm{C}_3\)(通り)
白玉\(3\)個の組合せは\({}_7\mathrm{C}_3\)(通り)
求める確率\(p\)は
\(\displaystyle p=\frac{{}_7\mathrm{C}_3}{{}_{12}\mathrm{C}_3}\)
\(\displaystyle \ \ =\frac{7・6・5}{12・11・10}\)
\(\displaystyle \ \ =\frac{7}{44}\)
(2)赤玉\(1\)個、白玉\(2\)個になる確率。
全ての組合せは\({}_{12}\mathrm{C}_3\)(通り)
赤玉\(1\)個、白玉\(2\)個の組合せは\({}_5\mathrm{C}_1\times{}_7\mathrm{C}_2\)(通り)
求める確率\(p\)は
\(\displaystyle p=\frac{{}_5\mathrm{C}_1\times{}_7\mathrm{C}_2}{{}_{12}\mathrm{C}_3}\)
\(\displaystyle \ \ =\frac{5・21}{220}\)
\(\displaystyle \ \ =\frac{21}{44}\)
(3)赤玉\(2\)個、白玉\(1\)個になる確率。
全ての組合せは\({}_{12}\mathrm{C}_3\)(通り)
赤玉\(2\)個、白玉\(1\)個の組合せは\({}_5\mathrm{C}_2\times{}_7\mathrm{C}_1\)(通り)
求める確率\(p\)は
\(\displaystyle p=\frac{{}_5\mathrm{C}_2\times{}_7\mathrm{C}_1}{{}_{12}\mathrm{C}_3}\)
\(\displaystyle \ \ =\frac{10・7}{220}\)
\(\displaystyle \ \ =\frac{7}{22}\)