【線形代数】8-5-1 行列の三角化|要点まとめ

大学数学の線形代数で学ぶ「行列の三角化」について要点をまとめました。直交行列・ユニタリ行列の定義や性質から、具体的な直交行列による上三角化の手順まで分かりやすく解説し、練習に役立つ例題も掲載しています。

直交行列

【直交行列】
\(P\in M_n(\mathbb{R})\)が
\(P^TP=E_n\)
を満たすとき、\(P\)を直交行列という。

【直交行列の性質】
(1)\(P\)が\(n\)次直交行列ならば、行列式\(\det P\)の値は\(1\)または\(-1\)である。
(2)\(P,Q\)が\(n\)次直交行列ならば、積\(PQ\)および逆行列\(P^{-1}\)も直交行列である。

【内積と転置行列】
\((\cdot,\cdot)\)を\(\mathbb{R}^n\)の標準行列とする。任意の\(\boldsymbol{x},\boldsymbol{y}\in\mathbb{R}^n,\)\(A\in M_n(\mathbb{R})\)に対して
\((A\boldsymbol{x},\boldsymbol{y})=(\boldsymbol{x},A^T\boldsymbol{y})\)
が成り立つ。

【直交行列の内積保存性】
\(P\)が\(n\)次直交行列ならば、全ての\(\boldsymbol{x},\boldsymbol{y}\in\mathbb{R}^n\)に対して
\((P\boldsymbol{x},P\boldsymbol{y})=(\boldsymbol{x},\boldsymbol{y})\)
が成り立つ。特に\(\boldsymbol{x}=\boldsymbol{y}\)とすれば
\(\|P\boldsymbol{x}\|=\|\boldsymbol{x}\|\)
となるので、直交行列\(P\)をかけてもベクトルの長さは変わらない。

【直交行列と正規直交基底の関係】
\(A\)を実数の成分を持つ\(n\)次正方行列とし、その列ベクトル分解を
\(A=\begin{pmatrix}\boldsymbol{a}_1 & \boldsymbol{a}_2 & \cdots & \boldsymbol{a}_n\end{pmatrix}\)
とする。このとき、\(A\)が直交行列であるための必要十分条件は\(\boldsymbol{a}_1,\boldsymbol{a}_2,\cdots,\boldsymbol{a}_n\)が\(\mathbb{R}^n\)の正規直交基底となることである。

【直交行列の固有値】
直交行列の固有値は全て絶対値が\(1\)の複素数である。

ユニタリ行列

【随伴行列】
\(A\in M_{m\times n}(\mathbb{C})\)に対して、\(A^*=\overline{A^T}\)を\(A\)の随伴行列という。

【ユニタリ行列】
\(U\in M_{n}(\mathbb{C})\)が
\(UU^*=E_n\)
を満たすとき、\(U\)をユニタリ行列という。

【ユニタリ行列の性質】
(1)\(U\)が\(n\)次ユニタリ行列ならば、行列式\(\det U\)の絶対値は\(1\)である。
(2)\(U_1,U_2\)が\(n\)次ユニタリ行列ならば、積\(U_1,U_2\)および逆行列\(U_1^{-1}\)もユニタリ行列である。

【内積と随伴行列】
\((\cdot,\cdot)\)を\(\mathbb{C}^n\)の標準内積とする。任意の\(\boldsymbol{x},\boldsymbol{y}\in\mathbb{C}^n,\)\(A\in M_n(\mathbb{C})\)に対して
\((A\boldsymbol{x},\boldsymbol{y})=(\boldsymbol{x},A^*\boldsymbol{y})\)
が成り立つ。

【ユニタリ行列の内積保存性】
\(U\)が\(n\)次ユニタリ行列ならば、全ての\(\boldsymbol{x},\boldsymbol{y}\in\mathbb{C}^n\)に対して
\((U\boldsymbol{x},U\boldsymbol{y})=(\boldsymbol{x},\boldsymbol{y})\)
が成り立つ。特に\(\boldsymbol{x}=\boldsymbol{y}\)とすれば
\(\|U\boldsymbol{x}\|=\|\boldsymbol{x}\|\)
となるので、ユニタリ行列\(U\)をかけてもベクトルの長さは変わらない。

【ユニタリ行列と正規直交基底の関係】
\(A\)を\(n\)次正方行列とし、その列ベクトル分解を
\(A=\begin{pmatrix}\boldsymbol{a}_1 & \boldsymbol{a}_2 & \cdots & \boldsymbol{a}_n\end{pmatrix}\)
とする。このとき、\(A\)がユニタリ行列であるための必要十分条件は\(\boldsymbol{a}_1,\boldsymbol{a}_2,\cdots,\boldsymbol{a}_n\)が\(\mathbb{C}^n\)の正規直交基底となることである。

【ユニタリ行列の固有値】
ユニタリ行列の固有値は全て絶対値が\(1\)の複素数である。

行列の三角化

【行列の三角化可能定理】
\(A\in M_n(\mathbb{C})\)とすると、ある\(n\)次ユニタリ行列\(U\)で\(U^{-1}AU\)が上三角行列となるものが存在する。さらに、\(A\in M_n(\mathbb{R})\)でその固有値が全て実数ならば、変換行列\(U\)として直交行列がとれる。

【例題】次の行列を直交行列で上三角化しなさい。

\(A=\begin{pmatrix}3 & 1 \\ 6 & -2\end{pmatrix}\)
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